こうして支出を減らすことを実践していけば、生活環境など人によって差はあるものの、家計を年間100万円節約できるとする。

 著書にしたがって、例えば、家計を年間100万円節約する▽年収を100万円増やす▽浮いた200万円を年利5%で20年運用──などが実践できたとする。

「これで、20代から60代までの間に総額7000万円弱の資産を築くことができます。生活費が最適化されていれば、これで十分ゴールにたどり着けるのです。日本で上位8.4%に入るお金持ちになれます」と両学長。

「お金の不安がない自由な生活を手に入れるために、学びの一歩を踏み出そう!」と呼びかける。

 新型コロナをきっかけに、社員の働き方も大きく見直されそうだ。

企業の人事戦略に詳しいセレクションアンドバリエーション(大阪市)の平康慶浩社長さんが予測する変化の一つが、欧米流の「ジョブ型雇用」への移行だ。企業側は社員に頼む仕事の内容をあらかじめ明確に示し、その成果に応じて待遇を決める仕組みで、働いた時間に重点を置く今までの日本流のやり方とは大きく異なる。

「コロナで広がった在宅勤務では、社員の勤務状況を常に把握することはできません。そのため企業の報酬体系も、働いた時間よりも成果に目が向けられるようになります。規制や労使の合意といった壁もあり、短期間で一気に変わるわけではなさそうですが、これからは仕事のプロセスだけでなく、所属するチームや部門の収益に対して具体的にどれだけ貢献できるかを意識して働くことがより重要になるでしょう」

 ジョブ型雇用は、日立製作所やソニー、富士通、資生堂など一部企業がすでに導入しているという。

 会社を頼りにしているばかりでは、生き残っていくのは難しい。新型コロナをきっかけに、仕事に向き合う自分たちの意識や行動を改めて見つめ直してみたい。(本誌・池田正史、吉崎洋夫、浅井秀樹)

週刊朝日  2020年7月10日号より抜粋

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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