東京商工リサーチによる6月24日までのまとめでは、新型コロナの影響や対応などを情報開示した上場企業は3427社で、全上場企業の90.4%にのぼった。このうち業績の下方修正を発表したのは898社で、全上場企業の23.7%を占め、248社が赤字だったという。

 今夏のボーナスについて、大手シンクタンク(調査会社)は軒並み厳しい見通しを示している。前年と比べた「民間企業の1人当たり支給額」は、みずほ総合研究所が9.2%減、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが7.6%減、日本総合研究所が6.4%減の予想だ。

 もっとも厳しい予測を示したみずほ総研の試算では、1人当たりの支給額が34万6480円。昨夏の38万1520円から、約3万5千円減ることになる。

 ボーナスは、所定内給与に支給月数を掛け合わせて決める会社が多い。みずほ総研の見立てでは、今夏は所定内給与が0.1%減、支給月数も1.04カ月から0.94カ月へと、いずれも前年割れとなる。その結果、「リーマン・ショック後(09年夏が9.8%減)以来の大幅マイナス」になりそうだという。

 みずほ総研経済調査部でエコノミストを務める嶋中由理子さんは「夏のボーナスの支給対象者は前年に比べ1.9%の減少を予想しています。新型コロナの影響の大きかった飲食・宿泊サービス業や娯楽業を中心に、ボーナスが出ない人が増える可能性は高い」と説明する。

 ラーメン店をチェーン展開する幸楽苑ホールディングスは、5~7月に従業員の給料を20%カットし、夏のボーナスを支給しないと発表した。時短営業を迫られるなど業績が低迷したためで、5~7月は役員報酬も20~50%カットする。既存店売上高は4月が前年同月比50%減、5月も37.8%減と低い水準にとどまる。

 旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)も、今夏のボーナスの支給を見送る。同社は海外ツアーのキャンセルが相次いだことなどから業績が悪化し、20年10月期の純損失が11億円にのぼると予想する。赤字転落は1980年の創業以来、初めてのことだ。一部店舗の休業が続いており、6月は従業員の給与も減額する。

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