東京証券取引所の株価ボード。景気回復はいつに? (c)朝日新聞社
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 (週刊朝日2020年7月10日号より)
 (週刊朝日2020年7月10日号より)
 (週刊朝日2020年7月10日号より)
 (週刊朝日2020年7月10日号より)

 新型コロナウイルスの影響による業績の低迷は、企業で働く人びとの“懐”も直撃している。夏のボーナスはリーマン・ショック後以来の大幅減となり、さらに冬も厳しいとみられる。

【データ】どう変わった?民間企業の1人あたりボーナス支給額

 機械部品メーカーに勤める神奈川県の50代男性は、コロナの影響で残業ができなくなり、手取り収入が月38万円から25万円に減った。時短勤務を迫られたほか、元請け企業からの発注が減って仕事そのものが減ったためだ。専業主婦の妻と小学生の子ども2人を抱え、もともと生活に余裕があるわけではない。

「生活費のほか、子どもの教育費や住宅ローンの負担が重い。とくに住宅ローンは数年前に35年ローンを組んだばかりで、まだ1500万円以上の残高が残っています」

 リネンサプライ工場で働く岐阜県の男性(50)は「生活が崩壊しそうです」と訴える。シーツ類などを洗濯してホテルに提供しているが、4月は時短勤務になりながらも仕事がない状態で、5月には週3日の出勤に。月給は8万~10万円減り、20万円を見込んだ夏のボーナスは、業績悪化で支給されなくなった。6月までの4カ月間の収入は、前年よりも50万円超下がった。

 時短勤務ではなくなったものの、給料は戻るどころか、今後はさらに減るかもしれない。「自由に使えるお金が少なくなりました。服なんて買えませんし、外食もほとんどできない。しかし限界があるので結局、カードローンなどで借金しています。あと数カ月、この状態が続くと……もう生活できません」

 SMBC日興証券によると、5月29日までに発表された東証1部に上場している1428社の2020年3月期決算は、売上高の合計が495兆9228億円で前年比2.1%減、純利益が25兆3854億円で27.2%減と、それぞれ落ち込んだ。

 とくに、新型コロナの影響が表れた20年1~3月期に限ると、売上高の合計は123兆3157億円で、前年同期より7%減。純損益は、5兆9509億円の黒字だった前年から一転、1兆473億円の赤字へと沈んだ。つまり「日本株式会社」は、年初からコロナで赤字経営に陥ったのだ。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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