専門家会議が発足したのは、2月14日。新型コロナに対応する特別措置法の改正が3月までずれ込んだため、専門家会議は法的に位置づけられた組織ではなかった。そのことも弊害が生じる要因になった。

「法的根拠がないため、権限や責任が不明確でした。だから、3密とか人との接触8割減とか、極めてあいまいな意見に終始しているのです。実際には、東京や大阪の都市部でも接触は4~6割減にとどまりましたが、感染者数は減少に転じています。諸外国はひたすら臨床研究に邁進(まいしん)し、しっかりしたデータに基づいて情報提供しています。新しく作る会議体は法律で定めて、議論内容や科学的根拠を開示するよう義務付けるべきです」(上氏)

 PCR検査を民間の医療機関や検査会社がいまよりもスムーズに実施できるようにするには、感染症法の改正も必要だという。第2波に備えた法整備を急ぐべきなのに、安倍政権は国会を早々と閉じたのである。(本誌・亀井洋志)

週刊朝日  2020年7月10日号