スマートリング「Oura Ring(オーラリング)」(Oura社の公式サイトより)
スマートリング「Oura Ring(オーラリング)」(Oura社の公式サイトより)

 東京都内を中心にふたたび感染者数が増加しつつあり、新型コロナウイルスへの不安がいまだぬぐえない中、米国で「無症状の感染者を早期発見できるスマートリングが開発された」と報じられた。

 スマートリングとは指輪型のウェアラブルデバイスで、スマートフォンなどと連携して、データの処理や通信ができる。近年では心拍数の計測や睡眠の質の把握など、“ヘルスケア型”のスマートリングの開発も盛んだ。報道によれば、今回のシステムは米ウェストバージニア大学ロックフェラー神経科学研究所、スマートリングメーカーのOura社などが共同開発したもの。このシステムに対応したOura社のスマートリング「Oura Ring(オーラリング)」を装着することで、取得した生体情報から新型コロナの自覚症状が出る3日前に感染の警告が通知されるという。発症予測の精度は9割以上とされている。
 
 スマートリングについて、神戸大学大学院工学研究科の塚本昌彦教授は次のように解説する。

「指輪型デバイスはこの1、2年で特に多くなってきましたが、これまでは性能や着け心地が悪いということで流行らず、腕時計型の普及のほうが先行していました」

 ただ、ヘルスケア型に限れば、指輪型が優位にあることがわかってきたという。

「脈波や血中酸素飽和度など、血流の測定は腕時計型より指輪型の方が精度がいい。ウェアラブルデバイスによって新型コロナの早期検出を目指すプロジェクトが世界でいくつも立ち上がっていますが、腕時計型がほとんど。その中で指輪型の『Oura』が先にいい結果を出したのは、やはり精度に違いがあったからと見ています」
 
 加えて、指輪型は常時装着が容易であることも生体情報を取得するうえでポイントになったと指摘する。

「米国では各地の病院と連携して、600人以上の医療従事者がモニタリングに参加していて、今後1万人以上の参加を目指しているようです。他にもプロバスケNBAが、選手たちの常時装着を検討している。国内でも導入を検討するケースは増えていくと思います」

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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