ところが、ここまでのポイントを実践しようとしても、勘違いしているケースが目立つという。「普段からウォーキングをされている方でも、腕を前に振る人が多い。ひじを軽く曲げて後ろに深く引くイメージがいいです」。つまり、(4)肩の力を抜き、ひじを後ろに引くことを意識して歩く。肩が丸まってしまわないように「引く、引く、引く……と意識すると、バランスもよくなる」という。

 さらに足は、(5)かかとから着地して、親指の付け根で蹴るようなイメージが大切だという。足のアーチが崩れることなく、いつまでも維持できるメリットがある。

「若々しく見えるポイントは腰の回転。大きく使えている人は美しく見える。骨盤をしっかりと回すように歩くといい」と市川さんは付け加えた。

 ウォーキングがランニングと違うのは、速度だけでなく、両足が地面に接していることでもある。からだ全体の動きについても、ランニングが“弾むボール”だとすれば、ウォーキングはごろんごろんと“卵が転がる”ようだと例えられる。こうした違いは、メーカー各社のシューズづくりに生かされ、効率的なウォーキングを促す専用シューズも出ている。

 究極の歩き方を追求してきたアシックスでは、「GEL−MOOGEE(ゲルムージー)」が代表的なシューズだ。ソール裏側のつま先に施した溝のデザインは、特許も取得。ソール外側の中底部を柔らかくする構造にし、ウォーキングをサポートする。

 市川さんは「歩くことで重要なのは量と質。とくに質の部分において、ただ歩くだけでなくて速度や姿勢を維持すると、同じ距離を歩いても意味合いが違ってくる。短い時間でも質を高めてもらえれば、健康面への効果も全然変わってきます。コロナの影響が残るなか、まずは散歩がてら、人の少ない所で意識してもらいたい」と話す。(本誌・宮崎健)

週刊朝日  2020年7月3日号