実際、こうした変化とともに歩き方が変わっていくという。

「歩く姿勢を前、後ろ、横から撮ったAさんとBさんの2人の動画を講演会などで紹介することがあります」。人間特性研究チームの市川将マネジャーがこう切り出した。

 動画のなかでは、Aさんは腕の振りも少なくゆっくりとしていて、Bさんはそれとは対照的だ。

■理想時速は7キロ ラン並みの効果

「『AさんとBさんはそれぞれ何歳くらいに見えますか?』と質問すると、参加したみなさんは、見た目では『Aさんがだいたい70歳、Bさんが30歳くらい』だと答える。実は、同じ70代だと明かすと驚かれる」

 年をとると、若いときのようには歩きにくくなる。歩くスピードが落ちて、一歩一歩の間隔も小さくなりやすい。「かかとから着いて、しっかりと指先で蹴る歩行が重要になるが、足全体で歩くようになってしまう。つま先が上がらなくなってすり足になり、平坦な所でもつまずきやすくなる。これも50歳を境に落ちてきます」と指摘する。

 足形や歩き方の変化を理解したうえで、健康づくりを支える「究極の歩き方」とは、どんなものなのか。

「加齢で出てくる足形や歩き方の傾向の“逆”をちゃんとしてあげればいい」と市川さん。

「足の親指を使っているときの筋肉が萎縮して、使っていない人ほど、足のアーチが落ちる傾向にある。逆に、親指をしっかり使っている人はアーチがしっかりとして歩けるし、足の形状も保てる」

 次の五つのポイントを意識することが大切だという。

 まずは(1)ややはやく歩くこと。颯爽としたイメージで、男性なら時速7キロ、女性なら時速6キロで歩けるようになるのが理想だ。「一般的にランニングのほうが運動効果は高いし、カロリーも消費できる。ウォーキングでも、それと同じくらいのエネルギー消費量を維持しながら、着地の衝撃が小さく、故障リスクも抑えられる。その目安として時速7キロ程度と説明している」

 そして(2)まっすぐ前を見て歩く。横の揺れを小さくするときれいな歩行に見えるそうだ。(3)背筋を伸ばすことを意識する。「胸を開いて背筋を伸ばし、骨盤を軸に足を振り出すイメージで、骨盤をしっかりと回転させてあげるのが重要となってくる」

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