松原:れいわはこの半年間、失速した感が強い。コロナ禍で前に出てこれず、国会で存在感がなかった。小池さんはすでに出し切った感があるが、それ以上に山本さんができる感じにはない。

御厨:大阪の吉村洋文知事は今回成功した。政治的な経歴の中で一度も既成政党にいなかったからでしょう。純粋の維新の会育ちでしょ。彼にとっては大阪ファーストであって、大阪にいいものは何でもやろうと。既成政党に一回でも入っていれば、同じようなことはできなかった。

松原:緊急事態宣言を出すことについても強く主張したし、そこから宣言の出口についても独自に打ち出していった。天神橋筋とか繁華街がガラガラで本当に危機なんだと、府民が体感していることを発言していた。安倍さんの「うちで踊ろう」に比べると住民の実感にかなり近い印象があります。

御厨:ああいう感覚が国民には共有できた。吉村さんみたいな人に次の総理の可能性が出てくるのはいい。

松原:官僚も自民党議員も、みな首相に忖度してしまう。でも、忖度の影響圏から離れると、ちゃんと政治ができる。当たり前のように当たり前のことが言える。

御厨:吉村さんと小池知事が新党をつくる構想もあるみたいだけど、そういうのはやめたほうが良い。

松原:やはり小池さんとは一緒にやれなそうな気がしますね。

御厨:地方からは吉村さんが出てきて、国からは西村さん。吉村対西村はおもしろいですよ。

松原:吉村さんと西村さんは今後の人だけど、岸田・石破で選挙に勝てなかったら、安倍戻りでなく一気に若返る可能性もある。そのときは台風の目になるかも。

御厨:ノーマークだけど、北海道の鈴木直道知事もあり得る。国より先に緊急事態宣言して、独自のやり方で感染を抑えた。二次感染が来たが、それでも抑えきっている。地味ですけどね。

松原:吉村知事と横一線くらい頑張りましたね。その点、小泉進次郎環境大臣は中身が何もないことがバレてしまった。

御厨:そう。国民との感度のズレのせいで埋没してる。犬と散歩してる写真が出ているけど、100年早いなぁ。あの若さで犬と散歩して国民の人気を得られますかね。

松原:愛知の大村秀章知事は「大阪は医療崩壊していた」なんてケチをつけて、吉村知事と喧嘩してた。

御厨:言わなきゃよかったと思いますね。

松原:知事グループが安倍さんに強く抗議をしたのは印象に残りました。安倍さんにとってはお灸をすえられた。自治体の長をポスト安倍に入れてもおもしろいと、国民が考え始めている。

(構成/本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2020年7月3日号より抜粋