下方向へのレベルダウンからか、中流でも「消費は下流化」が当たり前になってしまった。
「誰でも大手衣料チェーンの服を着る時代ですし、作業服販売の新興企業が高成長を続けているのも同じ文脈です。以前は『中の中』の人は『中の上』的な消費をめざしたものですが、そういう上昇志向はなくなり、階層は『中の中』で十分、消費は『中の下』でOKなのです」(同)
どうやら日本の下流化は止まらなそうに見えるが、三浦氏は格差に歯止めをかける一つの手段として大学教育をオンライン化せよと訴える。
「コロナ禍で一部の学生が大学を退学しようとする動きがあることが報じられましたが、絶対に大学を辞めてはいけません。今回の調査結果でも出たことですが、若い人ほど大学を卒業するかしないかが将来、『下流』になるかならないかの大きな条件になっているからです。あらゆる伝手をたどってお金を工面し、学生生活を続けてください」
こうした学生を出さないようにするのがオンライン大学の狙いという。全国どこでもいつでも講義を受けられるようになれば、地方の学生は東京などの大都市に行く必要はなくなる。つまり、学費以外の費用はかからなくなる。
「東京の学校に行きたいが東京で暮らす経済力がない子どもたちを進学させられるのです」(同)
格差解消という大きな目標への着実なステップになるというのだ。(本誌・首藤由之)
※週刊朝日 2020年6月26日号