「愛の不時着」と並ぶ“2大巨頭”といわれるのが「梨泰院クラス」。大ヒットしたウェブ漫画が原作で、国際色豊かなソウルきっての歓楽街・梨泰院を舞台に、自由を求めて起業する若者の奮闘を描く。主人公の若者を演じるのは、人気俳優のパク・ソジュン。飲食チェーン最大手の御曹司による同級生へのいじめを阻止したことから高校退学へ追い込まれ、さらに父親の死、刑務所服役と受難が続く主人公が、飲食業界のドンを相手に復讐劇を繰り広げるというストーリーだ。個性豊かな仲間とともに社会の底辺からのし上がっていくリベンジ劇には「半沢直樹」に通じるような爽快感があり、逆境に屈せず信念を貫く主人公に勇気をもらえる。

「韓国でも大ヒットし、舞台である梨泰院のエリアとしての人気も上がりました。若者からの人気も高く、幅広い世代から支持を得ています」(成川さん)

 主人公を演じたパク・ソジュンにハマった人は、彼の出世作である「サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~」も必見。若者たちの成長ロマンスを描いた作品で、「梨泰院クラス」での寡黙な役柄とは打って変わった明るくコミカルな姿が観られる。“愛の不時着ロス”で、ラブロマンスの世界にまだまだ浸りたい方は、「太陽の末裔」「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」もオススメだ。

「梨泰院クラス」と同じくウェブ漫画が原作の話題作が、「偶然見つけたハル」。漫画の世界が舞台という異色のストーリーで、女子高生を中心に繰り広げられる学園ドラマだ。

「登場人物たちが漫画の中に住んでいるというユニークなラブコメ。日本で“高校生の恋愛をテーマにした漫画の実写化”といえば、ティーン向けの映画が一般的ですが、韓国では幅広い世代の視聴者を意識した、現実的な世界観を追求。細部までこだわった本格ドラマに仕立てるところは、さすがと唸らされます」(安部さん)

 日本でヒットする韓国ドラマは王道のラブストーリーが多いが、韓国ではずっしりと重めの作品も人気。例えば、韓国で「梨泰院クラス」と同時期に放送されて人気を集めたのが「ハイエナ─弁護士たちの生存ゲーム─」。2016年に大ヒットしたドラマ「シグナル」でも主演を務めた女優キム・ヘスと、人気俳優のチュ・ジフンがW主演した社会派ロマンス。金のためなら手段を選ばないハイエナ弁護士と、エリートコースを歩んできた温室育ちの弁護士という正反対の2人が法廷で戦う姿を描く。

「狙った獲物は、どんな手段を使っても逃がさない、キム・ヘス演じる弁護士のハイエナっぷりがすごい。男をだますときのセクシーなお姉さんスタイルと、事務所でのジャージー姿のギャップも楽しい。見ごたえのある作品です」(成川さん)

「ハイエナ」にハマった人は、「愛の迷宮─トンネル─」もオススメ。連続殺人事件を追っていた刑事が、30年後の未来にタイムスリップし、未来の刑事とパートナーになって真相に挑むサスペンスだ。

「タイムスリップと捜査劇という二つの要素が絡み合った名作ドラマ。テンポ良い展開で飽きさせません」(安部さん)

(本誌・松岡かすみ)

週刊朝日  2020年6月26日号より抜粋

著者プロフィールを見る
松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

松岡かすみの記事一覧はこちら