夏休みの短縮は、こんなところにも影響する。これまでの受験スケジュールであれば、志望校選びのために、大学のオープンキャンパスを訪れるなどの時間にも充てることができた。しかし、今回は授業に割かれることになるだけでなく、大学側がオープンキャンパスを自粛する動きも出ている。今年度の受験生は、従来にない制約や不安を抱えながら過ごしている。

 一方で、休校期間にうまく受験勉強を進められた生徒もいる。私立の進学校に通う女子生徒は「受験勉強に取り組める時間が増えた」と前向きにとらえる。自転車で片道40分かかった登校時間がなくなったことに加え、受験とは関係のない教科に費やす時間が減ったと受け止める。

「基礎固めを中心に取り組んだ。1日12時間勉強できるなど、最高でした。私の周りの進学希望者はやる気があり、この休校期間にしっかりと勉強する人が多かったと思います」(女子生徒)

 進学校では高校2年の段階で、多くの教科において受験範囲の勉強が終わっており、自ら学習する素地ができている。ある予備校の幹部はこう見る。

「勉強のできる子には休校は関係ないでしょうね。進学校の高校3年生は、受験を意識してすでに演習をやっている時期。学校がなくても、自分で取り組みやすい。また、自習の姿勢が身についているのも大きい。志望校もだいたい決まっているので、迷いがない。“実力の差”がついている可能性がある」

 学校の取り組みにも差が出てきた。都立でも日比谷高校では、3月中にプリントなどで課題を配布したが、自習だけでは不十分だと判断。オンライン授業の実施に向けた準備を進め、4月15日から英語や数学など主要5教科の授業の配信を始めた。一つの授業は午前中のみの30分とした。

 さらにゴールデンウィーク(GW)明けの5月7日からは、一部の授業を除いて通常と同じ1日7時間の時間割にした。6月からは授業自体を30分から40分へ拡大し、第2外国語や体育などを含めてすべての授業をオンラインで配信する。

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