コロナ禍で業績が好調だったマクドナルド (c)朝日新聞社
コロナ禍で業績が好調だったマクドナルド (c)朝日新聞社
コロナ禍で業績が好調だったニトリ (c)朝日新聞社
コロナ禍で業績が好調だったニトリ (c)朝日新聞社

 コロナショックによって業種や企業の間でも明暗が分かれ、差をもたらした。

【写真】コロナ禍で業績が好調だった家具メーカーは…

 例えば、外食チェーンの5月の既存店売上高。ファミリーレストラン「サイゼリヤ」は前年同月比52.2%減、「ロイヤルホスト」は45.8%減。牛丼の「松屋」は22.2%減、「すき家」も9.2%減、回転ずしも「かっぱ寿司」や「スシロー」など軒並み20%前後の減少と落ち込んだ。片や、「マクドナルド」は15.2%増、「ケンタッキーフライドチキン」は37.6%増と伸びた。

 東京商工リサーチによると、6月9日までに判明したコロナ関連の経営破たんは229件。宿泊業、飲食業、アパレル関連の上位3業種が計97件で、全体の4割を占めた。コロナの感染拡大で訪日外国人客が激減し、旅行や出張、買い物の自粛が広がったためだ。

 一方で、「巣ごもり消費」の恩恵を受けた企業もあった。任天堂はゲームソフトが大ヒットし、ニトリホールディングスなどの家具メーカーは、自宅の模様替えなどの需要を取り込んだ。食品スーパーやドラッグストアも、遠出できない消費者に支えられて堅調だった。医薬品の開発で期待される製薬会社や、リモート勤務の普及で特需が生じた通信関連、電子部品などは好調だった。

 コロナと共存する新たな生活様式や事業環境が求められるなか、これに対応できなければ企業の生き残りは難しい。厚労省のまとめでは、コロナ関連の解雇や雇い止めが多いのは、宿泊、飲食、製造業、道路旅客運送業など、今回真っ先に影響を受けた業種だった。業績が悪化した企業は今後、リストラを進めたり、非正規社員や外注を増やしたりする可能性がある。新卒採用ではすでにマイナスの影響が出始めている。

 渡航制限で業績が落ち込んだ日本航空(JAL)やANAホールディングスは、21年度入社の新卒採用を一時中断した。就職情報会社ディスコによると、6月1日時点の内定率は64%で、前の年の同じ時期に比べ7.1ポイント下がった。採用活動が遅れるだけならばまだしも、採用数を絞るところも出てきそうだ。

著者プロフィールを見る
池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

池田正史の記事一覧はこちら
著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら
次のページ