2017年に宮城県気仙沼市であった全国高校総体のフェンシング /(c)朝日新聞
2017年に宮城県気仙沼市であった全国高校総体のフェンシング /(c)朝日新聞
インターハイで使われる予定だったポスターが、この大会でも使われる/エクスドリーム・スポーツ提供
インターハイで使われる予定だったポスターが、この大会でも使われる/エクスドリーム・スポーツ提供

 全国高校総体が新型コロナウイルスの影響で中止になったが、フェンシング界では「高校生に最後の舞台を」という思いから、有志たちが代替の全国大会を開催しようと動いている。

【写真】インターハイで使われる予定だったポスターが、この大会でも使われる

 クラウドファンディング「CAMPFIRE」で資金を募り、9月25日から、神奈川県箱根町での開催を目指す。プロジェクトリーダーは、1988年のソウル五輪にも出場した元フェンシング日本代表で、代表監督も務めた江村宏二さんだ。

「予想もしない形で最後の大舞台を奪われてしまった高校3年生たちのために、大人たちの手でなんとかできないかと考え、プロジェクトを発足させました」

 総体の中止決定直後から、「目標がなくなってしまった」と高校3年生の悲痛な思いを聞いてきた。

「努力してきたことをぶつける集大成の場、高校最後の大会という区切りが彼らには大事なんです。加えて、有力選手たちの大学推薦など、進路は全国大会の実績で左右されます。全国の強豪と戦うことで見えてくる選手の実力がありますし、大学側にも選手の実力を測る機会が必要だと考えました」

 参加対象は3年生を優先に、出場を希望するすべての高校生としている。

 プロジェクトには、現役を含むフェンシングの元五輪日本代表選手39人と、体操の池谷幸雄氏や陸上の末続慎吾氏ら、他競技の元五輪代表選手10人が賛同。箱根町などに教育施設を置く星槎グループが特別後援として協力し、「星槎箱根レイクアリーナ」を試合会場として提供する予定だ。周辺も一丸となっており、箱根町も協力を惜しまないという。町生涯学習課の担当者はこう話す。

「後援として協力させていただく予定です。宿泊地への周知など、具体的な計画は未定ですが、すでにインターネット上でこの取り組みは知られており、皆さんが独自に準備されつつあるようです」

 ただ、開催実現までの道のりはまだ長い。当然、求められるのは新型コロナ対策だ。クラウドファンディングの目標金額2239万円のうち、支援額はまだ約1割にとどまる。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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