「医療機関は普段、卸業者を通じて購入し、値引きを受けていたのに、メーカー側の提供価格になって高くなった可能性があります。また、消毒効果が高いとされるのはアルコール濃度70~80%ですが、55%くらいのものとかが届くこともあったのではないでしょうか」

 別の関係者はこう言う。

「普段はアルコール濃度が低い商品を使っていたのに、濃度の高いものが届き、値段が高くなったケースもあったのではないでしょうか」

 手指消毒用エタノールは、手術前に使う高濃度のものや、病院入り口などで使う濃度の低いものなど、さまざまなものがある。厚労省の担当者は「あくまでも手指消毒用としており、もともと手術用を提供するスキームではありません」と説明するが、連絡や供給の際に混乱が生じた可能性はある。

 また、ある地域の医師会では、どのくらい必要なのかアンケートをしたところ、回答した医療機関に商品が届いて代金を求められるなど、アンケートが発注になってしまったという問題も起きたという。

 現在は医療機関が直接買えるような仕組みになった。緊急時の一時的な混乱だったかもしれないが、今後のためにも、詳しい検証と改善が必要だろう。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2020年6月26日号