Xデーが迫る河井案里参院議員(C)朝日新聞社
Xデーが迫る河井案里参院議員(C)朝日新聞社
Xデーが迫る河井克行前法相(C)朝日新聞社
Xデーが迫る河井克行前法相(C)朝日新聞社
秘書の判決が出た広島地裁(撮影/今西憲之)
秘書の判決が出た広島地裁(撮影/今西憲之)

 自民党の河井案里参院議員(46)が初当選した昨年7月の参院選で車上運動員に違法な報酬を支払ったとして、公選法違反(買収)の罪に問われた案里氏の公設秘書立道浩被告(54)に、広島地裁(冨田敦史裁判長)は16日、懲役1年6月、執行猶予5年(求刑懲役1年6月)の判決を言い渡した。立道被告は連座制の対象となる「組織的選挙運動管理者等」にあたるとして広島地検は「百日裁判」を申し立てている。

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 今後、広島高検が申し立てる、行政訴訟で連座が認められると、案里氏は当選無効となり失職する。

 立道被告の判決では、買収の幇助でなく、「違法な遊説を取り仕切り、日当を支払った実行行為に関与」「(違法な)日当3万円は、克行議員に了承を得ていた」と裁判所は認定。

「法を無視して国政選挙の趣旨を害した。軽い事案ではない」と厳しく述べた。

 現在、広島地検と東京地検特捜部は案里氏と夫の前法相、河井克行衆院議員が昨年7月の参院選で広島の県議、市議らにカネをばらまいた公職選挙法違反容疑(買収)の捜査を進めている。自民党のベテラン議員はため息をつく。

「予想はしていたが、厳しい判決だ。立道被告はまだ案里氏の公設秘書。カネをばらまいた事件にも影響しかねない」

 立道被告は公判で「克行氏から昨年5月に5万円を燃料代として、6月には30万円をもらいました。35万円の領収書は書いていない」と自身も克行氏からカネをもらったと証言しているのだ。

 立道被告の立場は、運動員らとは違い、公職選挙法では金銭を受け取れない立場だ。克行氏と案里氏の公職選挙法違反事件に、ピタリとあてはまる。捜査関係者によれば、克行氏と案里氏の立件については2度の逮捕を想定しているという。

「大阪地検特捜部などの応援は戻ってもらい、現在、東京地検特捜部の一つの班のほぼ全員を投入して、広島地検と合同で現職の国会議員夫妻逮捕という前代未聞の事件の捜査している。カネをばらまかれた県議や市議は、多くが『陣中見舞いだ』『当選祝い』などといい、政治資金収支報告書に記載する手続きをとっている。買収の罪に問えるか、難しい面がある。最初の逮捕は立道被告のような運動員に対し、カネをばらまいていた事件で立件する可能性もある。一人で100万円近く受領した運動員も複数いる。総額300万円を超える見込みだ」(捜査関係者)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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自民党本部への強制捜査は?