一方で、西武先発の高橋光成は全くボールを操れていなかった。制球が甘く、セットポジションで変化球が高めに浮く。ここまで練習はしてきたと思うが、ブルペンでは見えないものが試合では出る。

 高い技術を持った選手は最低限のことはできる。だが、若く勢いを大切にする選手は、コンディションが整わないと大崩れする可能性がある。一方で、ベテラン選手は自主練習から全体練習に切り替わって1カ月やそこらでは状態は上がりきらない。球団ごとに紅白戦の実施状況などで、コンディションに差があるのは仕方がない。大事なのは自チーム内の選手の状態の見極めだ。

 首脳陣からすれば、どうしても主力の調整力を信じてしまう部分がある。だが、今年は通常シーズンとは違う。「開幕から1カ月状態が上がるのを我慢して……」などと考えると、試合数はかさんでしまう。勢いのある若手の積極登用と、主力のコンディションの見極めを練習試合期間にしっかり行うこと。そして、監督は思い切った起用に対する決断をしてほしい。

 今は無事に開幕してくれることを祈っている。

週刊朝日  2020年6月19日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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