ツヤアオカメムシ(C)朝日新聞社
ツヤアオカメムシ(C)朝日新聞社

 カメムシが過去にないほど大量に発生している。兵庫県では、ナシ園の果樹に被害も出ているという。ナシやモモ、カキ、カンキツなどの果樹を育てる農家に対して予防策をとるように促す注意報を、県病害虫防除所(加西市)が5月末に出した。

 注意報によれば、今年は主にチャバネアオカメムシやツヤアオカメムシといった果樹カメムシ類が大量に発生しているという。気温が上がってくる7月下旬にかけて、その飛来が多くなりそうだと予測している。

 カメムシの発生は隔年で多くなるという特徴がある。病害虫防除所によると、昨年は大量発生する年でなかったにもかかわらず、多く発生してしまったという。「昨秋に発生して、暖冬により成虫のまま越冬するものが多かったのではないか」(担当者)とみている。多くなる“本番”を迎えた今年、これらの要因が重なって、カメムシの大量発生につながっているようだ。

 病害虫防除所が今春に発生数を調査したところ、多く発生する年の過去5年の平均値に対して、チャバネアオカメムシが5・3倍、ツヤアオカメムシは20倍超も発生していたという。

「例えばナシの花が咲いた後、小さな実になります。カメムシはその実の汁を吸います。実が大きくなると傷になり、へこんでくぼみができてしまいます。ボコボコのナシになってしまい、商品にはなりません」

 病害虫防除所の担当者は、ほかの幼い果実でも同様の被害が出ると説明する。そこで果樹農家に対して、農薬の散布や、果実への袋がけをいつもより早め、長い期間するように対策を促している。

 こうしたカメムシの大量発生は、兵庫県だけにとどまらないようだ。兵庫県の担当者は、近隣でも同じような注意報を出すようになってきたと話す。温暖化の影響が背景にあるとみられる。カメムシの生態が大きく変わってきているのだろうか。(本誌・浅井秀樹)

※週刊朝日オンライン限定記事