事件現場となった宝塚市の野津容疑者の自宅近くに集まる報道陣(撮影/今西憲之)
事件現場となった宝塚市の野津容疑者の自宅近くに集まる報道陣(撮影/今西憲之)
野津英滉(のず・ひであき)容疑者(三田松聖高校のアルバムより)
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野津英滉(のず・ひであき)容疑者(三田松聖高校のアルバムより)

 兵庫県宝塚市の住宅で、親族4人がボーガン(洋弓銃)で襲われ、3人が死亡した事件で、兵庫県警は殺人未遂容疑で逮捕された野津英滉(のず・ひであき)容疑者(23)を6日午前、神戸地検に送検した。

【写真】ボーガンで祖母、弟、母の順に殺害した容疑者の素顔

 死亡したのは野津容疑者の弟・英志さん(22)と、祖母の好美さん(75)と母のマユミさん(47)。伯母の百合江さん(49)は首に矢が刺さる重傷を負った。

 事件があった6月4日午前、兵庫県警は現場にいた野津容疑者を現行犯逮捕。事件直後に野津容疑者を目撃した近所の人はこう話す。

「血だらけの女性が救急搬送されていった。長い矢のようなものが身体に刺さっていたようだ。野津容疑者は呆然とした感じで手錠をされて、警官に取り囲まれ、パトカーに乗せられていった」

 凶器となったボーガンは自宅で発見された。

「ボーガンで4人を撃った」「祖母、弟、母の順番で撃った。叔母も電話で呼び出して撃った」などと野津容疑者は供述しているという。

 捜査関係者はこう驚きを隠せない。

「ボーガンで3人殺害というのは、前代未聞。はじめてじゃないのか」

 ボーガンは洋弓銃と呼ばれ、弓矢のように引いて矢を放つもの。海外では狩猟やスポーツで使用される。

「拳銃なら連射できるが、ボーガンは1本づつ矢を引いては、撃つ仕組み。どうやって、次々と3人を殺害、1人にけがを負わせたのか、謎だ」(同前)

 祖母と母親は1階の居室で襲われ、ボーガンの矢が1本づつ頭部やクビに刺さっていたという。

「弟は風呂場のあたりで倒れており、2本の矢が頭に刺さっていた。病院搬送された時はまだ息があったが、回復せず、亡くなった」(同前)

 事件現場となった住宅は野津容疑者の祖母がもともと住んでいたという。

 だが、数年前から野津容疑者と弟が住むようになった。そして最初は一緒に住んでいたとされる母親は途中で家を出て、現場から徒歩数分先にあるアパートに引っ越したという。近所の住人はこう話す。

「2年くらい前から祖母の好美さんの体調を崩し、母親が来て世話をしていた。野津容疑者は昔から知っているが、道で会えば挨拶もするし、普通の若者と思っていた」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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