日本のプロ野球は大リーグと比べても総収入は少ないし、シーズンが半減される大リーグと違い、143試合が120試合になる。ただ、前述したとおり、シーズン途中に感染者が出てリーグ全体が中断せざるを得なくなった場合などの年俸の取り決めはしっかりしておいたほうがいい。野球協約上、削減はどこまでできるのか、もしくはできないのか。経営者側が削減を申し入れる場合、どういった道筋で決定されるのか。

 誰だって、そんな交渉は後回しにしたいし、開幕を待ちわびているファンの方々を前に、議論を行うのはナンセンスだという意見は多い。だが、選手も球団も、プロ野球が長く繁栄するために、話し合うべきところはしっかりとやらないといけない。シーズンが終わってから、もめることがないようにね。

 高校野球が夏の甲子園の中止を発表したのが5月20日で、プロ野球が開幕を決めたのが5月25日。もちろん、野球専門のプロと、学業との両立も必要な高校生とは違うのはわかる。本来の夏休み期間にも学校の授業は行われるだろうから、8月の甲子園に代表校すべてが出そろうことが難しいことも、大人なら理解できる。ただ、単純に「大人ってずるい」と思う高校生はいる。今年のプロ野球界は、そういった野球界全体の思いを背負って開幕を迎えることになる。

週刊朝日  2020年6月12日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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