小泉進次郎環境相。「進次郎節」は影をひそめ…… (c)朝日新聞社
小泉進次郎環境相。「進次郎節」は影をひそめ…… (c)朝日新聞社

 コロナ禍に隠れてなのか、最近、あの大臣の影が薄い。わかりやすく、小気味よい語り口がトレードマークのはずが、なんとも切れ味が悪い。

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「調整真っ最中なので、私があまり自分の考えを申し上げるのは邪魔にもなるので控えたいと思います」

 5月26日の閣議後にあった小泉進次郎環境相の記者会見。現在、政府内で調整している、日本の石炭火力発電を新興国に輸出するための条件についてこう話した。環境省としては、石炭火力の輸出条件を厳しくしたい考えだ。

 小泉氏は今年1月、日本企業が関わるベトナムの石炭火力発電所の建設計画について「国際社会の理解を得られない」などと指摘し、温室効果ガス排出量の多い石炭火力発電の輸出政策を見直す必要があると主張した。小泉氏の発言を受け、環境省は4月に有識者検討会を設置し、報告書にまとめた。冒頭の発言は、その報告書についての質問に答えたものだ。

 だが、報告書を読んだ大手ガス会社の幹部は、「会見もそうだが、報告書の内容も歯切れが悪い」と打ち明ける。報告書は、輸出にあたり脱炭素への移行を促すよう求めたものの、輸出を制限するための具体的な要件案は示されなかったからだ。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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