各球団は5月下旬から紅白戦など実戦を再開したが、ブランクは否めない。

「打席で、球が速くて見えんかった」

「ボールが手につかない。直球にキレがないし、コントロールも全然ダメ」

 など選手たちは焦りの色を隠せなかった。

 練習試合は6月2~14日に計71試合を行う予定だ。スポーツ紙デスクはこう分析する。

「不安の声はベテラン勢のほうが多いですね。若手の時と違って急激に調整のペースを上げると故障のリスクがある。開幕まで実戦も少ないので徐々に上げていけばいいともいかない。特に投手は開幕まで4週間もない状況で実戦登板の機会が限られる。肩、肘(ひじ)に不安を抱えている投手が多いので首脳陣も無理はさせられない。今年は先発投手の完投数が少なくなると思います」

 本塁打や試合終了後のハイタッチが当面は自粛される可能性が高く、画面越しに声援を送る野球ファンには違和感があるかもしれない。だが、選手たちは万全の準備を尽くし、首脳陣は策を練る。今年は試合数が少なく、開幕で出遅れたチームは挽回(ばんかい)するのが厳しい。戦いはもう始まっている。(梅宮昌宗)

週刊朝日  2020年6月12日号