100兆円の財政出動を訴える自民党の安藤裕衆院議員
100兆円の財政出動を訴える自民党の安藤裕衆院議員

 新型コロナウイルスが日本で感染者を出してから4カ月が過ぎた。緊急事態宣言は解除されたが、その間に経済活動は停滞し、幅広い業界で売り上げが減少している。

 この間、政府は1人一律10万円の定額給付金など、さまざま施策を打ち出している。しかし、現時点で政府からは布マスク2枚の“アベノマスク”すら届いていないという人も多いだろう。

 一方、自民党内には、もっと積極的に財政出動をして、国民の生活を支えるべきだという議員もいる。安藤裕衆院議員(55)が会長を務める議員連盟「日本の未来を考える勉強会」は、中小企業への売上金の補償や国民全員への追加の定額給付など、100兆円規模の補正予算を求める提言を発表した。

 現在、政府・与党で検討が進められている第2次補正予算は、6月8日に国会に提出される予定だ。提言は実現不可能な夢物語なのか。それとも日本の危機を救う処方せんなのか。安藤議員に聞いた。

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──新型コロナのパンデミックで、経済の停滞が深刻となっています。今後、日本では何が起きるのでしょうか。

 エヌエヌ生命保険が実施した経営者へのアンケート調査によると、6月末までに経営危機に陥る企業が6割にのぼります。一日も早く、迅速な手立てが必要です。どんな企業でも廃業、倒産をさせないために、財源を国がしっかりと手当てする。具体的には、100兆円の国債を発行して、「みなさん安心してください」というメッセージを伝えることです。

──どのような政策が必要でしょうか。

 第1次補正予算で約2.3兆円計上された事業者向けの持続化給付金を大幅拡充し、50兆円にする。家賃や光熱費だけではなく、事業費全般を補償する必要があります。そのためには、売上高から売上原価を引いた「粗利」を補償すればいいのです。

 そのほか、体力の弱った中小企業が外国資本から買収されることを防ぐため、政府補償による資本注入に10兆円。医療・介護施設への支援に5兆円、就職難が予想される新卒生の雇用を守るため、国や地方公共団体が公務員の採用人数を増やし、積極的に雇用できるようにする。保護者の収入減やアルバイトの減少で困っている学生に向けて、1人100万円を100万人に給付する。地方公共団体への臨時交付金も5兆円。1人一律10万円の定額給付金も、今後も第2弾、第3弾を視野に入れるべきです。

 これらの内容は、議員連盟「日本の未来を考える勉強会」としても提言しています。

──100兆円も国債を発行すると、日本は財政破綻しませんか。

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財政破綻はしないのか