休業の貼り紙(東京・銀座)=撮影・宮崎健
休業の貼り紙(東京・銀座)=撮影・宮崎健
政府・与党が検討中の主な追加経済対策 (週刊朝日2020年6月5日号より)
政府・与党が検討中の主な追加経済対策 (週刊朝日2020年6月5日号より)

 コロナショックによる経済活動の縮小が、企業の存続を危うくさせている。すでに老舗企業の倒産が相次ぎ、失業者も続出。緊急事態宣言の解除後はさらに影響が広がるとみられる。

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 企業の倒産や雇用不安を抑えるため、政府も対策に躍起だ。国や都道府県などは、売り上げや収入が落ち込んだり、休業要請に協力したりする企業や家庭に給付金や協力金を用意。今国会中には、企業への資本支援やテナントの家賃支援など追加の経済対策を盛り込む20年度第2次補正予算案の成立をめざしている。

 だが、給付金や協力金の支給は5月の連休明けにようやく本格化したばかりのものが多い。金額もけっして十分とは言えず、複雑で時間のかかる申請手続きへの批判は多い。

 4月30日の参院予算委員会では、売り上げが半分以上減った企業や個人事業主を対象に最大200万円を支給する国の「持続化給付金」をめぐり、政府側の答弁が迷走する事態が生じた。共産党の小池晃議員が支給の対象を「売り上げ半減以上」に線引きした根拠を聞いたところ、安倍晋三首相らは「予算規模と給付金との見合い」などと答えるにとどまり、明確な根拠を示せなかった。

 エコノミストで経済評論家の斎藤満さんは、政府の支援に過度な期待はできないと指摘する。

「今回のコロナショックは、問題の根源がある程度明らかだったリーマン・ショック時や、影響のおよぶ地域が限られていた東日本大震災のころと違い、国内外の経済全体が文字どおり、ストップしてしまいました。事業活動そのものが制限されるため企業の対応の余地は限られ、支援に一刻の遅れも許されない。ただし、政府が対策を行っても、あくまで経済活動がストップしたことで失われた収入や利益を補うものにすぎず、経済そのものを底上げし、将来の成長につながるような効果は期待できません。ワクチンや抗ウイルス薬の開発にめどがつくまで、我慢の時間が続きそうです」

 経済回復の特効薬はないものの、企業が厳しい環境を生き抜くヒントはないものか。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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