だから、彼をトップにしているこの国では、緊急事態を乗り越えられない。新型コロナ対策もグダグダだ。

 中国の武漢からウイルスが発生したという一報があっても、習近平・中国国家主席の来日を自分の力を見せつける政治パフォーマンスに使おうとし、入国制限をかけなかった。中国の方に向け、日本にいらしてください、て呼び込みまでしていた。

 東京五輪で盛り上がったら、それを自分の手柄のようにし、選挙を行うと決めていたので、PCR検査を渋り、水際作戦を失敗させ、市中の感染を拡大させた。

 大した根拠も示さず国民に自粛要請。そして、一部解除。解除した地域にクラスターが発生したら、また「自粛」「解除」をくり返すのだろうか? 自粛のための補償は出し渋ってるくせに。首相としてのプライドも、国民への愛もない。

週刊朝日  2020年6月5日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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