室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 作家の室井佑月氏は、安倍首相に対して苦言を呈する。

【画像の続き】ポストを開けて、今日も思うことは…

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 安倍首相は、検察庁法改正案の今国会成立を断念したようだ。といっても、秋の国会でまたしれっと出してくるかもだから油断ならない。

 今回断念したのは、世論の反発を食らったから。そう様々な新聞に書かれてあった。

 ツイッターで、「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグを付けた投稿が500万を超えたやつのことだ。あたしもこれ、せっせと投稿したんだよ。

 元検事総長を含む検察OBからも、反対する強烈な意見書が出されたし。

 安倍首相やそのまわりの似たような人たちにはわからないかもしれないが、人は仕事をしている時間が長くなると、ずっと続けてきた職業は、自分の一部になっている。仕事に真面目に取り組んできた人ならよけいに、その仕事を汚されることは、自分が汚されたように思うだろうよ。今回の検察OBも、そう感じて行動したのだろう。

 こういうことが安倍首相にはわからない。安倍首相も政治家人生は長いけど、政治家という職業を自分で汚してばっかじゃん。モリ、カケ、サクラ、公文書改ざん、税金や権力の私物化。

 今回も、我が身可愛さから、官邸の守護神と呼ばれ、定年を延ばしてまで検事総長の座につけたかった、黒川弘務・東京高検検事長を捨てにかかってる。それは首相として(というか人間としてだけど)どれだけみっともないことか。

「#検察庁法改正案に抗議します」という声が増えてきて焦ったのか、安倍首相はお友達のネット番組に出演した。反論があるなら、会見や国会で堂々と意見を述べればいいのに、小心なこの人はいつもこの手だ。

 そして、その番組の中で、安倍首相は黒川氏の定年延長について、全部法務省が持ってきた話だ、とした。

 森友学園問題と同じだ。かつては安倍応援団であった籠池さんに、すべて罪をかぶせたときと。

 安倍首相は権力に執着はあるけど、首相という立場にプライドは持っていないのだと思われる。

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