芸妓や舞妓といえば近年はなり手も少なく人手不足の代名詞だが、さすがにお茶屋が休業してしまっては出番もなくなる。花街の催しに出るため練習を続けた舞妓らもいたが、彼女らをあずかる置屋では、実家に帰すところも出ていたのだ。5月21日には京都府の緊急事態宣言も解除されたが、客足が戻るかも読めず、いつ元通りの状態になるかは不透明だ。

 逆に、京都でひっそりと営業を続けているのは、一部の高級料亭だ。

 京都には、ミシュランの星を獲得するような老舗の和食店や高級料亭がある。

 創業100年以上の老舗では自前の土地に広い建物、ゆったりとした個室も多く、3密にはならない。こぢんまりとした店舗でも、「お客さまは、1日1、2組に限定して予約があれば店を開けています」(ミシュランの星獲得店)などと、制限を設けて営業している。めったに予約の取れない店も、いまならば比較的空いているとか。老舗和食店の店長がいう。

「京都は創業100年、200年の店も多く、土地持ちならば高い賃料もない。そういう店はまだまだ維持する体力があります。コロナが収束したら、ぜひ、京都に足を運んでください」

(本誌・永井貴子)

週刊朝日  2020年6月5日号