「5カ月も生産がマイナスであっても、自動車需要が下支えし、年度換算では回復できる可能性があります」

 世界の新車需要は年間1億台近く。一時的に販売が低迷しても、宮尾さんは2~3割の規模で需要が急減する理由が見当たらないとし、1割程度の減少にとどまるとみている。

 トヨタが5月12日に発表した決算で、今年度の自動車販売を前年度比14.9%減の890万台の計画とした。日野自動車やダイハツ工業を含むグループの世界販売だ。宮尾さんは最悪のシナリオで公表してきたのではと話している。

 トヨタの今年度見通しでは、詳しい内訳など詳細を未定とした。興味を引くのは、豊田章男社長が会見で「国内生産300万台体制の死守」に改めて言及したこと。どんなに経営環境が厳しくなっても「モノづくり」の基盤を守るため、「石にかじりついて守ってきた」と強調した。

 トヨタの国内生産は前年度330万台で、今年度が14.9%減になると281万台。300万台を守るには9.1%減にとどめなければならない。社長の強い意志が守りぬかれるか。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2020年5月29日号