次にペナントレースの運営だが、「移動のリスク」は極力排除する必要があろう。極論を言えば、1カ所に集まった集中開催が理想だが、それは現実的に難しくても対策はある。関東と関西に分けた2カ所開催、1カード3連戦ではなく6連戦とする案も出ているという。特にパ・リーグは福岡にソフトバンク北海道日本ハムがある。移動距離が長いので、知恵を振り絞ってもらいたい。かつてないシーズンとなる。多少の不公平な日程は目をつぶってもらいたい。「野球を届ける」ことを大前提において、議論を進めてもらいたい。

 シーズンが始まって選手が感染した場合の運営もしっかりと話し合っておく必要がある。選手から体調の異変を言いだせない状況だけは作ってはいけない。第三者による検温や全員の体調チェックを行うなどの検討も必要かもしれない。そして試合前に「体調の異変」があった選手、そのチームの試合をどうするのか。開催への努力と同等以上のエネルギーが運営には必要となる。

 スポーツにおいて「プロ野球」が特別だということはない。ただ、プロ野球は日本にとって「国民的スポーツ」の一つである。他のスポーツのイベント開催の基準、模範となるような運営ルールを作ってほしい。

週刊朝日  2020年5月29日号

著者プロフィールを見る
東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

東尾修の記事一覧はこちら