東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
無観客で開幕していた台湾プロ野球は5月8日、観客の入場を解禁した (c)朝日新聞社
無観客で開幕していた台湾プロ野球は5月8日、観客の入場を解禁した (c)朝日新聞社

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、プロ野球開幕に向けて必要な準備について語る。

【写真】台湾プロ野球は観客の入場を解禁した

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 プロ野球が6月中旬から下旬にかけての開幕を目指すことになった。報道などを見ると最短で6月19日を目指すという。いろいろなご意見はあると思うが、12球団が開催の可能性を探る努力をやめたら、いつまでたっても開幕できないことになる。あきらめず、新型コロナウイルスが終息に向かうことを信じて準備を進める姿勢は大切だと何度もコラムで書いてきた。

 ただ、その一方でファンあってのプロ野球である。開催する地域のみなさま、国民のみなさま、そして各自治体のご理解なくして、強行に開幕はできない。5月31日までで全国的に緊急事態宣言が解除されるのかどうか、解除されたとしても、試合開催に向けて各球団として何をしていくのか、ファンの方々に何をお願いするのか、をしっかりと説明していく必要がある。

 もし、選手のこと、現場のことだけを考えるならば、全体練習という形で練習を開始してから6週間はほしいというのが本音だ。キャンプ初日の状態として、今年の開幕は当初3月20日だった。50日弱ないと、トップコンディションにまで上がってこない。特に投手は肩の状態をしっかりと作り上げるのに、この2カ月あまりのブランクは大きい。ブルペン投球を重ねていって、3試合程度実戦で投げることを考えたら、本来は6週間必要だ。

 ただ、こちらもプロである以上、最低限1カ月の調整期間で、何とか合わせてもらうしかない。首脳陣は、投手について「調整途上」であることを念頭に置き、先発投手への負担には配慮すべきだろうと思う。例えば2、3試合登板するまで「最初の登板は80球、2回目は100球」などと、球数を管理しながら行ってほしいよね。

 プロ野球は今年だけでなく来年以降も続いていく。特に来年は7月に東京五輪が控える。今年も開幕した場合、日本シリーズが11月末まである。選手の負担というものをしっかりと考えてもらいたい。

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東尾修

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東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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