2年前に辞めたが、案里氏の参院選出馬が決まり、運転手として昨年5月に復帰した。月給は40万円で、案里氏が当選後は公設第2秘書となった。被告人質問で克行氏からカネをもらったことがないかと問われ、こう答えた。

「昨年5月に5万円を燃料代として、6月には30万円を追加だともらいました。合計35万円です。領収書は書いていない」

一方、河井夫妻が広島県議、市議らにカネをばらまき票の取りまとめを依頼していた公選法違反の容疑で捜査を続ける広島地検と東京地検特捜部。

「県議や市議のカネのばらまきはすさまじいものがあり、総額は2000万円以上ではないか。そして、立道被告ような運動員や後援者にもばらまいている。立道被告も35万円を克行氏から直接受け取ったことを法廷で認めたのは、とりわけ大きい。立道被告は選挙のための仕事をしており、報酬は受け取れない立場。河井夫妻がばらまいた違法なものだとみている。政治家より、運動員へのばらまきを先行して事件化することも視野に入れている」(捜査関係者)

 広島地検と東京地検特捜部は、克行氏をターゲットに捜査を進展させている。法相経験がある自民党重鎮議員もこう話す。

「河井夫妻の逮捕となれば、安倍政権に大きな打撃。そこでこちらもいろいろとやったようだ。しかし、検察側は河井夫妻が現金をばらまいたリストをガッチリ掴んでおり、稲田検事総長が『河井夫妻を絶対にやる』と豪語しているそうだ。捜査は止まりそうにない。賭けマージャン疑惑で失墜した黒川氏ではもう官邸の“守護神”になれない。検察庁法改正案も断念で、もう安倍首相も末期かなという気がするね」

 自民党の国会議員が二人寄れば、「安倍さんの次は」という話題になるという。(本誌取材班)

※週刊朝日オンライン限定記事