今のドラマは基本的に1年を四つの期(クール)に分け、3カ月単位で放送する。放送開始が大幅に遅れれば、7月以降のドラマに影響する可能性がある。

 特に「半沢直樹」などの話題作は繰り下がっていくだろう。また、「SUIT Sseason2」は13話以上が予定されており、7月以降にずれ込むのは必至だ。そうなると、7月期に予定されていたドラマもずれていくことになる。

 ドラマの相次ぐ延期は、テレビ局には大打撃となる。今夏開催予定だった東京五輪が1年延期になって膨大な枠が空いた上、視聴率が期待できるドラマを放送できない。今は外出自粛や在宅勤務で多くの人が家にこもっているのに、それを生かすことができない。

「テレビ離れを食い止める数少ないチャンスだったのに」(同)

 ただ、順調に始まったドラマもある。「いいね!光源氏くん」(NHK総合)など深夜枠ものだ。

 一般的に深夜ドラマは番組の規模が小さく、プライムタイムのドラマより収録が進んでいたものが多いようだ。

 また、NHKは「テレワーク」で深夜ドラマを3話制作した。打ち合わせから本番収録まで、直接会わずに仕上げている。

 漫画家でTVウォッチャーのカトリーヌあやこさんは、こうした深夜ドラマを薦める。

「『いいね!光源氏くん』は、コロナ騒ぎの中、イケメンが癒やしの存在であることを感じさせてくれる上に、ファンタジックで楽しめます。(乃木坂46のメンバー3人が主演する)『映像研には手を出すな!』(TBS系)は、同タイトルで映画もドラマ(全6回)も全部撮り終わっています。テレビ東京系の『きょうの村さん』や『レンタルなんもしない人』『浦安鉄筋家族』『捨ててよ、安達さん。』も順調です」

 空いた枠を埋める再放送ものにも注目だ。2005年にKAT‐TUNの亀梨和也と俳優の山下智久が出演した「野ブタ。をプロデュース」(日本テレビ系)の特別編は、4月18日に放送された回の平均世帯視聴率が10.9%で、4月11日の11.0%(いずれもビデオリサーチ調べ、関東地区)に続く高視聴率を記録した。

 カトリーヌさんは言う。

「『野ブタ。をプロデュース』の再放送なんてとても貴重。(野ブタと呼ばれる地味な女子高生を演じる)堀北真希が懐かしくて。全部放送すればいいのにって思っちゃいます。これまでは、ドラマが多すぎてどれを見たらいいのか、という人が多かった。今は数が絞られているので、皆が味わって見ているなという印象です。コロナからちょっと離れたいと思ったときはドラマですよ!」

(本誌・大崎百紀)

週刊朝日  2020年5月29日号