日本選手権は20年内(12月ごろに3~4日開催)、ジャパンオープンは20年度内(来年2月ごろに3~4日開催)を目指す。東京五輪の代表選考会は来年4月初旬、8日間開催の日本選手権での実施を目指す、としました。場所は東京アクアティクスセンターを含めて調整します。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続き、スポーツイベントはことごとく中止になっています。水泳連盟としては年内に大会ができる環境が整うという前提で、みんなの目標となる競技会をまずは提示しないといけない、と考えました。

 参加者の安全が最優先ということは言うまでもありません。どんな条件が整えば開催可能か、厳密に考える必要があります。約2カ月前には開催の是非を決めなくてはなりません。検討した上で開催できない、という判断もあると思います。

 選手は競技会という目標があるから練習に打ち込めます。試合の緊張感の中で限界に挑む経験を繰り返すことで成長していきます。私のチームは12月ごろの開催目標が設定された日本選手権に照準を合わせて、限られた条件の中で練習を続けていきます。

 外出自粛が求められる状況が続けば、夏の大会も開催が難しくなります。今シーズンは伸び盛りのジュニア選手も競技会に出場する機会がなくなる可能性があります。世界中のスイマーが「守りの努力」を求められている今、長期的な視野で目標を設定して底力を蓄えてほしいと思います。

(構成/本誌・堀井正明)

週刊朝日  2020年5月8-15日号

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平井伯昌

平井伯昌

平井伯昌(ひらい・のりまさ)/東京五輪競泳日本代表ヘッドコーチ。1963年生まれ、東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。86年に東京スイミングセンター入社。2013年から東洋大学水泳部監督。同大学法学部教授。『バケる人に育てる』(小社刊)など著書多数

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