MCの小倉さん自身、高齢と病気をなさったこともあってご自宅から。バックに本棚が映っている。
私の場合は殺風景な壁がバックになっている。モニターには一人一人区切られて人物が並び、発言する場合も話を向けられれば喋りやすいが、話題に途中で入ることができない。要は会話が成り立たないのだ。その上に、画像が乱れたり、音声がずれたり、遠い外国と中継をつないでいる感じなのだ。
つくづく人間は、お互いの顔を見て話すことでコミュニケーションを保っていると思う。その意味でコロナはさまざまなことを教えてくれた。
話の往来が自由にできないことほど、不便なことはない。
日頃なにげなく人と人とが話せることがどんなに大切か。これからは、コロナが終息したら、人との会話をもっと心を込めてしたいと思う。
隔靴掻痒という言葉がある。靴の上からかゆいところをかくようにもどかしい感じが残るリモートであった。
※週刊朝日 2020年5月22日号