お笑い芸人「ウーマンラッシュアワー」 村本大輔さん (撮影/片山菜緒子)
お笑い芸人「ウーマンラッシュアワー」 村本大輔さん (撮影/片山菜緒子)

 新型コロナウイルスの感染拡大でこの人は何を思っているのか。お笑い芸人「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔さんに話を聞いた。

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 コロナ禍で芸人は仕事が間違いなく減っています。劇場は閉鎖されて、僕も仕事は全部なくなりました。

 3月上旬にニューヨークに渡ったのも、きっかけはコロナでした。仕事がなくなって、コロナを笑いのネタにしようとしたら、一般の方に不謹慎なことをするなと叱られましてね。

 日本では同調圧力が強くて、タブー的なものに触れようものなら袋だたきに遭うんですよ。ならばアメリカに行こうと。アメリカのコメディークラブで見たのは、悲しさは笑い飛ばそうという姿勢です。日本は、暗いものは暗いままにするんですよね。

 今回のコロナ騒動によって、これまで見えていなかったものが可視化されたように思います。コロナは川に投げ込まれた石のようなもので、波紋が広がるように世界の化けの皮が一気にはがれたんじゃないかと。

 芸能界でいえば、テレビ番組は今、リモート出演ばかり。スタジオがなくてもある程度成り立っていますよね。みんながユーチューバー状態で、テレビ局はそれを地上波に乗っけているだけです。テレビはおしゃれなカフェと同じで、たいしたことない料理でも外観とか盛り付け方でおいしく見せることができる。

 対して、ユーチューブなどは紙皿のようなもので、料理そのものの力が問われるわけです。テレビ局の演出があっておもしろくなるような芸人が、いざ自身の力のみで配信となったときに化けの皮がはがれる。芸を捨ててテレビに行ったような芸人は淘汰されていきますよ。

 化けの皮がはがれたのは政治も同じです。日本は経済大国だ、としきりに言っていても、いざ緊急事態になったら、政府は飲食店の休業補償はしないとか、マスク2枚とか、せこさが見える。

 ただ、これまでも安倍政権ではいろいろな問題が起きたけど、変わらなかった。日本人は変わらないと思いますよ。コロナ後もきっとまた安倍政権を支持している。痛みは一瞬で忘れて、3年後くらいに、「私たちはあのコロナから何も学んでいなかった……」とか言いだすのが目に浮かびますよ。

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