とはいえ、演劇の世界だけ特別扱いなのかなどと批判はあります。いろいろな批判を受け止めて百回ぐらい心が折れましたが、私は日々、発信し続けています。

 この素晴らしい文化・芸術を、ここで途絶えさせてしまえば次の世代ですごく心がすさむという気がします。どれだけ守れるか。これこそが、国の底力とか国民のレベルとかだと思います。そういうことがめぐりめぐって、国の治安に貢献したり、経済活動の再開時の底支えになったりするということを想像してほしい。

 国民は政治がどうあろうと税金を払います。だからこそ、それを私たちの生活のために使うのは当たり前の権利。生活を救うのと同じぐらい文化・芸術も補償されるべきです。和牛券ではなく、一律10万円の給付へと私たちの批判で変わりました。ちゃんと「おかしい」と国民が声をあげれば国は変わるし、前進もします。コロナが収束して社会に活気が戻ったときに、芸術・文化業界だけ死んだままだった、なんてことは絶対あってはならない。(本誌・大崎百紀)

※週刊朝日オンライン限定記事