「自粛の中、音楽、本、映画、絵画なしで過ごした人はいますか?」鴻上尚史氏がアフターコロナ語る (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「自粛の中、音楽、本、映画、絵画なしで過ごした人はいますか?」鴻上尚史氏がアフターコロナ語る

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大崎百紀週刊朝日

 人は誰にも心動かされた音楽やセリフ、演劇などがあり、それが人生の逆境を救ってくれたり、誰かを勇気づけたりして、意識せずとも人生に潤いを与えていると思います。

 新型コロナウィルスの感染拡大で、音楽や映画、演劇、落語など文化や芸術に関わる人たちの活動の場が失われ、なかには日々の生活すらままならない状況に陥っている人もいます。3月時点で8万1千本のライブイベントがなくなったというデータもあり、多くの人が仕事の機会を失いました。

 「3密」だとするライブ活動は、早い段階から中止を余儀なくされました。その日のために準備してきたものがいきなり白紙です。開催しなければ何も利益は生み出せません。商品をストックできるような業界ではなく、ゼロになる。利益は出ないのに、劇場側やスタッフらへの支払いがある。個人で何百万円もの借金を抱える人もいます。これが5、6月と続けば、倒産する劇団や制作会社が出てくる。

 これを「仕方ないよ。命を守るためだから」と片付けるような国のあり方に、劇作家・演出家として強い違和感を持つ。芸術の深みを理解せずに補償もままならず、芸術家たちの現状に心寄せない国のトップに怒りすら覚えます。

「好きなことを仕事にして、自由にやっている人が何を言っている」と斜めに見る人に対しては、スティーブン・キングの言葉をそのまま投げかけたい。

「もし、あなたが『アーティストはこの世に無駄なものだ』と思うのなら、自粛の期間、音楽や本や詩や映画や絵画なしで過ごしてみてください」

 彼がツイッターに書きこんだ言葉ですが、私も同じ気持ちでいます。しんどい時こそ、人と人を繋ぐツールとなり心を癒す存在が、音楽や映画・演劇だということを思い出してほしい。

 議員のなかには、超党派で演劇や芸術を応援しようとの思いを持たれている人もいます。時間がかかっても、政治家たちの心に私たちの業界の叫びが届き、この素晴らしい文化の存在意義が理解されれば、これ以上嬉しいことはありません。


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