選挙や東京五輪を気にし過ぎてもいけない。船頭を多くしてかじ取りを間違えたら、経済の回復はかえって遅くなり、延期した五輪もだめになるかもしれない。もっと大変なことになる。

 安倍首相には、世界的なリーダーシップの発揮も期待したいところです。

 米国のトランプ大統領が「中国に感染拡大の責任がある」と批判を向けている。確かに中国は無症状者を患者としてカウントしないなど情報に不透明なところがあったが、いま批判しあうときではない。同様に、WHO(世界保健機関)を「中国寄りで対応が遅れた」と批判して、拠出金を止めようとする。世界の司令塔であるWHOを壊す気でしょうか。課題があるのは事実だが、いま騒ぐ状況ではない。

 トランプ大統領の言動は、自分の選挙を意識したものでしょう。感染が拡大した国内の不満を外にそらそうとしているが、自分の都合でしかない。

 いまはコロナの課題をどう解決していくか考えていくとき。中国と米国が協力し、WHOを中心に世界が団結して、治療薬やワクチンの開発など科学的な対応を検討していく必要がある。安倍首相と内閣中枢のリーダーシップが、こういったときにワンチームで発揮されることを期待している。(本誌・吉崎洋夫)

※週刊朝日オンライン限定記事

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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