自治体アンテナショップは、利用者を増やしたり売り上げを伸ばしたりするだけではなく、地元の食べ物を東京や全国へと広める役割もある。

 鹿児島県の「かごしま遊楽館」(有楽町、食品販売などは当面臨時休業)の2階にあるレストラン「遊食豚彩いちにいさん」は95年開業の1号店で、そば屋にある「そばつゆ仕立てのしゃぶしゃぶ」の元祖だという。運営会社のフェニックス(鹿児島市)によると、東京では一般になじみがなかったユズコショウや黒豚も広めた。現在は全国10店舗を展開する。

 また、自治体アンテナショップは、数年ぐらい前から移住の斡旋にも力を入れている。

 JCRDが独立店舗(60店舗)を対象にして調査したところ、19年4月現在で、半数以上の36店舗でパンフレットや書籍を置いてあるほか、交流会などのイベントを開いたり、相談員を常駐させたりしている店舗もあった。

 畠田広報室長は言う。

「一般の移住斡旋団体を訪ねるよりも、アンテナショップで話を聞くほうが気軽でハードルが低いのではないでしょうか」

 進化し続ける自治体アンテナショップ。現在は臨時休業中の店舗が多いが、新型コロナが収束したら満喫したい。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2020年5月8‐15日号