受験生の子を持つ親の不安は高まっている。

「学校がなくなったことで、メリハリがなくなってしまっている」

「課題のプリントだけでは何も身につかない」

 などの声が上がっている。

 そんな中で注目を集めているのが、「進研ゼミ」の小中学生向けのオンライン教室「きょうの時間割」だ。時間割りに沿って、平日8時45分から授業を無料で提供している。4月10日に開始して1週間でのべ35万人が利用したという。その他にも自習用のドリルを無償でダウンロードできるようになっており、学びのきっかけを作っている。

 高校受験でも、対策のポイントは大学受験と同様だ。夏休みが減る可能性があり、この時期にこれまでの復習をしっかりとやっておく必要がある。さらに、ベネッセ教育総合研究所特任研究員で進研ゼミ高校受験総合情報センター長の浅野剛さんは、こう指摘する。

「学校から出されている課題をしっかりと提出することが大切」

 各学校では休校中に宿題を出しているはずだ。休校がいつ終わるかはわからないが、学校再開後の提出物は成績評価の対象となる。休み中に配られたプリントをなくないように気をつけたほうがいいという。

「高校入試では内申点が影響してくる。学校からの課題はしっかりとやり、提出することが重要です」(浅野さん)

 また、志望校選びを今から始めることも大切だという。高校の説明会やセミナーはしばらくの間、中止になると見られている。受験勉強だけではなく、志望校選びの情報収集も後ろ倒しになるということだ。現在は、高校のホームページの内容は充実しており、教育内容や部活動の様子、進路指導の実績など知ることができる。今から情報収集をしたほうがいい。

「親や先生が子供をどう導くかも重要です。受験は計画的にやろうとしても、どうしても後ろ倒しになっていきます。それが今年は強制的に後ろ倒しになる。こうした状況を子供に説明して、今から準備していくことに納得してもらうことが大切でしょう」(同)

 中学受験でも困難な状況は同じだ。中学受験塾の四谷大塚では算数のオンライン授業を無料で提供している。学校の教科書レベルの内容だが、1年間受講できる。基礎的なレベルをしっかりと学べると評判だ。

 今まで経験したことのない非常事態。困難を乗り越える参考にしてほしい。(本誌・吉崎洋夫)

※週刊朝日オンライン限定記事

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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