柔道の話に戻ります。ずっと「日本のお家芸」って言われて、いろんな時期がありましたけど、しっかり守り通してますよね。しかも、このところ非常にいいんじゃないですかね。
ルールが変わるとともに、柔道もだいぶ変わりました。昔はガチッとしっかり組んでやってましたけど、いまは試合の最後の方なんてとくに、組まないで技をかけさせず、いかに逃げていくか。そういう意味では時代の流れなのかなというのを感じます。
野村君はもともとスーパースターじゃなかった。脚光を浴びるようになったのは大学生になってからかな。中学校のころは女子にも負けてたって言ってましたから。ほかの競技でもオリンピックで好結果を出し続けた日本の選手はいますけど、弱い時期もへこたれず、強くなってからもストイックにやり抜いたというプロセス込みで考えると、一番の偉業は野村君かな、と思いますね。僕は。
※週刊朝日 2020年5月8-15日号