「安倍首相がイベントの自粛要請を出してから、ガクッと客足が減って、志村けんさんの感染が発覚してからは、並木通りを行き交う人もいなくなってしまいました。3月後半からは週に1人のお客さんが来る程度で、売り上げは90%減。お金がないので3月末に支払うはずの4月分の家賃を滞納しています」(クラブのオーナーママ)

 こうした飲食店を始めとした中小事業者が頼みの綱としているのが、国や都が準備を進めている給付・助成金制度だ。都は目下、休業要請に協力してくれた事業者1店舗につき50万円、2店舗以上で100万円を感染拡大防止協力金として支給する予定だ。対象はクラブ、バー、ネットカフェ、カラオケボックスなどの遊興施設ほか、学習塾、スポーツクラブなどの運動・遊技施設、劇場、生活必需物資・サービス以外を扱う商業施設などだが、特例として営業時間を朝5時から夜8時までに短縮する「時短要請」に協力した飲食店も協力金の給付対象となる。

 このほかにも都は、「テイクアウトやデリバリーサービスを新たに始める際の初期費用を、1事業者あたり最大100万円まで助成する予定」(都民ファーストの会関係者)。さらに、東京五輪開催時の交通混雑緩和を目指す「2020TDM推進プロジェクト」に参加した中小事業者は、事業継続緊急対策(テレワーク)助成金の対象となる。感染拡大防止の観点からテレワーク環境の整備を進めた場合、上限250万円で投資額の全額を都が助成する。文京区でうどん屋を経営する店主も「オンラインで打ち合わせるため購入したPCなどを助成対象として申請中」という。これを機に設備投資を行った事業者は要一考だ。なお、協力金、テイクアウト助成、テレワーク助成のいずれに関しても個人事業主も給付・助成の対象だ。

 一方で、国も中小事業者向けの給付金を準備している。月内に成立見込みの補正予算案に盛り込まれているのが、中小企業に最大200万円、個人事業主には最大100万円を給付する持続化給付金だ。月の売り上げが前年同月比で50%以上減少した事業者が対象となる。

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