支払いが猶予される主なお金 (週刊朝日2020年5月8-15日号より)
支払いが猶予される主なお金 (週刊朝日2020年5月8-15日号より)
中小事業者がもらえるお金 (週刊朝日2020年5月8-15日号より)
中小事業者がもらえるお金 (週刊朝日2020年5月8-15日号より)

 相次ぐ休業要請や経済活動の停滞は、家計にも影を落とし始めた。新型コロナウイルスの感染拡大で激変した暮らしのために、「家計防衛策」をお伝えする。

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「もらえるお金」ではないものの、税金や保険料、電気代、携帯電話などの通信料金も支払いを待ってくれるものが多い。毎月の負担を減らせる意味は大きい。

 所得税や住民税は、新型コロナ関連で生活が厳しくなるなどの条件を満たすと納税が最大1年間猶予される。国税である所得税は税務署で、地方税は市区町村役場で相談を受け付けているので連絡してみよう。

 自営業者やフリーランスらが加入する国民年金や国民健康保険の保険料も、もともと支払いを猶予したり、免除したりする制度がある。所得が下がったり失業したりしたことを示す資料を用意する必要があるが、ファイナンシャルプランナー(FP)の丸山晴美さんは「何もしないでいると『未納』の扱いになってしまう」と注意を呼びかける。

「年金は保険料が未納だと、その分だけ将来もらえる受給額も減ってしまいます。保険料を払うのが厳しいと思われる人は年金事務所などに相談しましょう」

 主な生命保険も、契約者が申し出れば保険料の支払いや更新を最長6カ月待ってもらえる。

 住宅ローンの負担を減らす動きも目立つ。長期固定金利の住宅ローン「フラット35」を提供する住宅金融支援機構は、勤務先の業績が悪くなり、収入が減ったり解雇されたりして返済が難しくなった人などを対象に、返済期間を最長15年延長できるようにした。返済期間が延びれば毎月の返済額は減る。他の金融機関も相談に応じている。

 支払いや返済を待ってもらいたい場合には、いずれも必ず届け出なければならない点に注意が必要だ。支払先やサービスの提供元にそれぞれ連絡する必要がある。面倒だが、手間を惜しまないようにしたい。

■中小事業者が申請すべきお金 最大500万円以上のケースも

 東京都による休業要請以降、各地の自治体が都に追随。飲食店を始めとした商業施設が続々と休業したことで、夜の歓楽街はすっかりゴーストタウンと化している。昨年の今ごろは外国人観光客でごった返した築地場外市場も同様。築地で寿司店を経営する女性は、

「昨年の10分の1の人の入りで、ウチの3月の売り上げは70%減。今や9割の寿司屋が休業している。乾物屋など、さまざまな業態で倒産する店が出てきているほか、大手の寿司チェーンの中にも身売りの話が出てきている」

 と話す。日本一の歓楽街である銀座はさらに悲惨だ。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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