転倒を防いだり、介護の負担を軽くしたりするために手すりの設置や段差の解消といった自宅のリフォーム費用を補助する住宅改修予防給付もある。工事費が50万円を超えるバリアフリー工事などをした場合は、住宅特定改修特別税額控除が受けられる。高額の介護用品を買った場合にも、市町村によっては購入費の一部を支援する介護福祉用具購入助成制度があるので確認してみよう。

 70歳以上の親の面倒をみている人は老人扶養控除を受けられる。生計を同じくする親の年金収入が158万円以下(年間所得38万円以下)などを条件に、同居の場合は58万円を所得から控除できる。

 家族の介護のために2週間以上、仕事を休まなければならないときには介護休業給付金がもらえる。休業開始前の2年間に12カ月以上、雇用保険に加入していることが条件だ。平均日額賃金の3分の2程度が支給される。支給期間は通算93日(約3カ月)と決まっているので、休みをどんなタイミングで取るかをあらかじめ考えておこう。

 外部の介護サービスを利用せずに家族が在宅介護している場合に支給されるのが在宅要介護者介護手当だ。助成額は年10万円など市区町村によって違う。やはり助成額は自治体によっていろいろだが、親元の近くや同居するために引っ越した家族に助成が出る親元近居助成制度などもある。

 どうしても仕事や暮らしのめどが立たないようなら、生活保護を利用することも考えよう。(本誌・西岡千史、池田正史/田茂井治)

週刊朝日  2020年5月8‐15日合併号

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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