巨額の税金を投入しながらも、早くも「ほころび」だらけのアベノマスク。ある野党幹部議員はこう話す。

「アベノマスクは感染拡大防止のためのものなのだから、短期間で全世帯に配布されなければ意味がない。短い納期に間に合わせるために、契約した会社は海外で生産したと聞いている。今になって国内生産するなど考えられない。それに、公表された契約金額は海外の生産を前提にしたものでしょう。国内生産に変えるので、追加費用分をよこせと言われたら、政府はどうするのか?」

 ある自民党幹部も、突き放した見方を示す。

「安倍首相が是非ともと言うので始めたアベノマスクですが、党内でも『466億円も投入するならもっと別の対策に使うべきではないか』という意見はかなりあった。そこに来て、不良品の問題や情報公開の不透明さで疑念ばかり生んで、批判が強まるばかり。やらないほうがよかったと思うよ。アベノマスクが安倍政権の命取りになりかねないとの声もあがりはじめた」

(今西憲之、本誌 吉崎洋夫)

※週刊朝日オンライン限定記事

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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