それでも、最終的に平岡部長が<(竹中氏に)個別に数字を示して、ご説明をさせていただきたい>と応じる格好となった。

 その内部資料が、1月15日の非公表会議で示されたのだ。

 本誌はその日に議論された中身を知るべく、会議に出席した内閣官房と内閣府、国交省など5省庁に情報公開請求した。

 その結果、98ページにも及ぶ資料が開示され、その中には民営化された、国が管理する五つの空港(北海道は7空港一括)すべてのEBITDAに関する資料も含まれていた。数字や計算方法に関する部分はすべて黒塗りで、<竹中会長限り>との印字もあった。会議での発言内容を記録した資料も請求したが、内閣官房は「議事メモ」の存在を認めたものの、開示されなかった。

 なぜ、竹中氏は内部資料の開示を国交省に求めたのか。

「これまでの議事メモをみると、竹中氏は民間企業が一度支払った運営権対価を、再び空港に投資させる制度の導入を求めている。関西国際空港は、18年の台風21号で大きな損害を受けた。新型コロナウイルスの影響で乗客数も激減するなど、空港運営はリスクが高い。竹中氏は運営権対価の一部を、空港の設備投資に使えるようにしたいのでは」(前出の霞が関関係者)

 分科会で提供されたのは、空港関連の資料だけではない。下水道の運営権委託事業に関する資料も<関係者限り>の印字付きで配布されていた。オリックスは、静岡県浜松市の下水道コンセッション事業に参入している会社で、水道事業でも竹中氏は利害関係事業者になる。

 資料には水道コンセッションを検討中の五つの地方自治体が紹介されていて、本誌が入手したものでは具体的記述の多くが黒塗りになっていた。

 国交省によると、二つの資料とも竹中氏には黒塗りされていないものを提供したという。

 事務局となっている内閣官房の日本経済再生総合事務局に非公表の理由を尋ねると、「公開されると率直な議論ができなくなる」と回答。事務局の判断で、今回の会議は「公開の対象ではない」と決めたという。

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利益相反の疑念、ルール作り必要