それが自治会の弱体化、人間関係の希薄化につながっていったという。

「福祉が手を差し伸べようとしても、支援がうまく届かず、無縁化していく人が取り残されてしまうのが、孤独死の問題に潜在しています。一人になったのは自分のせいだという自責の念に駆られ、誰かに頼ることもできず、『助けて』と言えない人が増えてきていると思います」

 前出の結城教授は、都監察医務院の統計で孤独死が50代から増えている点に注目する。

「孤独死は中高年のひきこもりと関連しています。昨年、内閣府は40~64歳のひきこもりが全国に61.3万人いると推計しました。孤独死を不安に感じる人は、自発的に社会とのつながりを求めようとしますが、一人がいいからと周囲との関係性を断ち切ろうとする人は、孤独死の予備軍になりうる。自治会などでは拒まれたら何もできませんから、彼らのプライベートゾーンに踏み込んでいく抜本的な対策を行政がしていくべきだと思います」

 高齢者への見守り活動などに取り組む自治体は少なくない。新型コロナ感染拡大を受け、厚生労働省は助成金を交付し、見守り活動を強化することにした。

「(新型コロナで)亡くなった人の世帯構成は把握していませんが、一人暮らしの高齢者が感染したら、できるだけ早めに入院や、保健所、病院につなげていく必要があります。助成金はどのくらいの金額になるか、どういう取り組みに出すかは、まだ調整中。元々やっている市町村もあるので、より強化してもらうことになるかと思います」(厚労省老健局振興課)

 だが、根本的な解決策を見いだせてはいない。

「そもそも、元気なときに周りとのつながりを作っていくようにしたいです」(同省社会・援護局地域福祉課)

 いち早い対策が望まれる。(本誌・岩下明日香)

週刊朝日  2020年5月1日号