帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
※写真はイメージです (GettyImages)
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 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「笑顔」。

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【ポイント】
(1)暗い顔だと免疫力が落ちて感染しやすくなる
(2)作り笑いでも免疫力アップに効果がある
(3)鏡と向き合って大いに笑いましょう

 コロナ騒ぎで世の中が暗くなっているような気がします。マスクをして街を歩いている人たちの表情が明るくないのです。ウイルス感染の不安を抱えながら、日々を過ごしているのですから無理もないことです。

 しかし、本当はこういう時だからこそ、にこやかに笑顔で過ごした方がいいのです。それは、笑顔だと免疫力が高まるという説があるからです。暗い顔のまま過ごしていると、免疫力が落ちて、感染しやすくなってしまうというわけです。

 この笑いと免疫力の関係を昔から研究しているのが、伊丹仁朗先生(すばるクリニック院長)です。先生とは古いつきあいになります。がんを予防し、克服する生きがい療法を提唱されていて、がん患者さんとモンブラン登山に出かけて話題になったこともあります。

 私も分担執筆した近著『がんを自力で消し去る最強食』(主婦の友社)に、笑いと免疫力についての原稿を書いていらっしゃいました。タイトルは「笑うだけ、笑顔をつくるだけで免疫力が高まり、がんなどの病気を予防できる」です。

 ここで紹介されているのは以下のような実験です。20~62歳のボランティアの方19人に3時間にわたって漫才や喜劇を見せて大いに笑ってもらい、その直前と直後に採血して免疫力の違いを調べたのです。

 まず「NK活性」です。NK活性とは、がん細胞を攻撃して破壊することのできるNK細胞の働きの強さのことをいいます。笑う前にNK活性が正常範囲より低かった5人は笑うことで、正常範囲かそれ以上に上昇しました。正常範囲にあった5人のうち4人も上昇。正常範囲より上の残りの人は、上がったり下がったりでした。いずれにしろ、笑いにはNK活性を増強する作用があることがわかりました。

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帯津良一

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帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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