54歳で単身日本を飛び出し、「SAYURI」でハリウッドに進出した。以後、ロサンゼルスに居を構え、海外の作品や若手監督の作品にも積極的に出演している。15年には結婚もした。
「結婚したのはね、ビートルズの『When I’m Sixty‐Four(僕が64歳になっても)』を聴きながら『この曲でウェディングロードを歩きたいね』ってダンナと言っていたから。ただそれだけの理由。それで64歳の6月4日に結婚したんです。もうずいぶん前から一緒に暮らしてはいましたから」
出会いはなんと9歳のとき。ロンドンで暮らしていたころの幼なじみだ。
「向こうは大使館の息子さんで、うちの父はロンドン大学の教授。親同士が仲よしだったんです。その後24歳のときにロンドンで会って一杯飲んだけど、それからずっと会ってなかった」
そして偶然、アメリカで約30年ぶりに再会した。
「『SAYURI』の契約のことで困っていたとき、アン・ルイスさんが連れてきてくれたんです。そしたら小さいころから知っている彼だったから、びっくりした。ダンナは音楽畑の人で、私は音楽の世界を全然知らないので、すごく新鮮です。ダンナの仕事をスタジオで見ていて、小道具係だと思ってた子が後日グラミー賞の授賞式に出てて『あ、あの子だ!』とかね(笑)」
結婚したことで変化はあるのだろうか。
「あんまり変わらないけど、信じる力はつきましたね。私、親も信じてなかったから。正直に言うと、恋人も一回も信じたことはない。自分自身を大事にするように、誰かが私を大事にしたり、私のことを考えてくれる、なんてことを信じてなかったんです。でもいまは信じる力がついた」
最近ジムにも行き始めた。
「水泳したり、バーベルあげたり、筋肉をちょっと鍛えてるのね。体を動かすのは大っ嫌いだったけど、アメリカだと普通におばさんたちもやっているから。おかげで歩くのが苦じゃなくなった。年取った人間こそがやるべきことじゃない? いまは『体が元気なうちにやらなきゃいけない100のこと』って感じかな。普通は『死ぬまでにしたい100のこと』って言うけど、死ぬ前にそんな忙しいのなんて、いやじゃない?」