監督 アイラ・サックス/Bunkamuraル・シネマほか近日全国順次公開予定/100分 (c)2018 SBS PRODUCTIONS / O SOM E A FURIA (c)2018 Photo Guy Ferrandis / SBS Productions
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監督 アイラ・サックス/Bunkamuraル・シネマほか近日全国順次公開予定/100分 (c)2018 SBS PRODUCTIONS / O SOM E A FURIA (c)2018 Photo Guy Ferrandis / SBS Productions
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「人生は小説よりも奇なり」のサックス監督が贈る人生賛歌「ポルトガル、夏の終わり」。主演は「エル ELLE」でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、名実ともにフランスを代表する女優となったユペール。出演はほかに「恋愛小説家」のグレッグ・キニアなど。

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 ポルトガルの避暑地シントラ。深い森と美しい海に恵まれ、歴史ある城跡が点在する世界遺産に認定された神秘の町。女優フランキー(イザベル・ユペール)は、この地に家族や友人を呼び寄せる。夫、かつての夫、息子、義理の娘の家族、さらには最も信頼してきたメイクアップアーティストの友達アイリーン(マリサ・トメイ)とその恋人。

 何気ない夏の終わりの休暇の様相を呈していたが、実は自らの余命が長くないと知るフランキーが、最愛の者たちの人生を今のうちに少しだけ演出しようと仕組んだ集まりだった。しかし、集められた家族たちは、この旅がそれぞれの人生のターニングポイントとなることなど、思ってもいなかった……。

 本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★ なかなかGOOD!
運命を受け入れ、何事かを企む大女優がイザベル・ユペール。彼女の最初の夫はゲイに目覚めて離婚。再婚の夫には離婚が目前の娘がいる。大女優にかかわる人々が世界遺産の美しい町に集う家族のドラマは最後が意味深長。

■大場正明(映画評論家)
評価: ★★ ヒマだったら……
一族や親友との再会を仕組んだヒロインの心境の変化を描きたかったのか、集まった人々の複雑な関係を炙り出す群像劇にしたかったのか。演技派揃いなので、個々のエピソードは見応えがあるが、全体像がぼやけている。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価: ★★★ なかなかGOOD!
物語がどうこうよりも、この人たちのそれぞれの人生を見ているうちに楽園のような景色に心が躍り、彼らが絆で繋がっていく。生きるとはきっとこれ。たまには関心がないように見えたりするが、でも家族、仲間だ。美しい!

■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★ なかなかGOOD!
一日で人生が変わる経験をする3世代を描く。小品ながら繊細な人物描写が光るのは、この監督ならでは。一種のメロドラマだが定石を避けて感傷的になりすぎないのは、実力ある俳優が支えているため。エンディングが印象的。

(構成/長沢明[+code])

週刊朝日  2020年4月24日号