12球団代表者会議が開かれ、新型コロナウイルス関連への対応が話し合われた=3月9日、東京都港区(C)朝日新聞社
12球団代表者会議が開かれ、新型コロナウイルス関連への対応が話し合われた=3月9日、東京都港区(C)朝日新聞社

  新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、プロ野球はシーズン開幕のめどが立たない一方で、台湾プロ野球が「無観客試合」で今月12日に公式戦を開幕。韓国プロ野球も中断されていた対外試合を今月21日から再開することが決まった。韓国国内で今後、感染の拡大がなければ、5月上旬に「無観客試合」で開幕する見通しだという。

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 台湾当局は中国で感染拡大が明らかになると、台湾に渡航する外国人について、中国滞在から2週間以内は入国を認めない方針を決めるなど即座に対応。さらに、検査や接触相手の隔離を徹底したことで感染者の増加を防いだ。

 現在は学校、オフィスの通学通勤が支障なく行われ、カフェやレストランなど店も開いている。それでも、プロ野球の試合で観客をスタンドに入れることは感染のリスクが高いと判断したのだろう。国民は無観客試合に理解を示し、試合のテレビ観戦を楽しみにしているという。

 あるテレビ関係者は、台湾の状況を見た日本球界でも変化が起きていることを指摘した。

「3月半ばまでは無観客試合に否定的な意見が多かったんです。ファンに球場で見てもらってのプロ野球という思いが、フロント、首脳陣、選手たちには強い。ただ、ファンからは『無観客でいいから開幕してくれ。テレビを見て応援する』と要望の声が非常に多いんです。各球団にもそのような電話が多く来るので、『無観客で開幕するべきではないか』と球界全体の風向きが変わった感じがします。6月終わりか7月に無観客試合で開幕を目指す方針になるのではないでしょうか」

 ファンを球場に入れて開幕を迎えるのが理想形だろう。ただ、現実的に考えると、多くの観客がスタンドに密集すると、感染が拡大するリスクがある。また、あまりに開幕が長引いて試合数が少なすぎると、個人タイトル、フリーエージェント(FA)権取得など色々な問題が絡んでくる。

 ある選手は、こう明かす。

「野球人生は長くないので1年も無駄にしたくない思いはある。ファンの応援や歓声がないのでモチベーションの部分では苦労するかもしれないけど、無観客でもいいから開幕してほしいし、1試合でも多く戦って優勝を目指したい気持ちはあります」

 もちろん、ファンあってこそのプロ野球だ。無観客試合で公式戦を行うことに異論の声もあるだろう。日本野球機構(NPB)はどのような決断を下すだろうか。(牧忠則)

※週刊朝日オンライン限定記事